【図解】微分入門

POINT

  • 微分は変数に対する関数の「変化率(グラフの傾き)」を計算する方法.
  • 物理と関連が深い.
  • 基本的な導関数は覚えておく必要がある.

$x$を変数とする関数$f$を考えます.

幾何学な意味

\begin{align}
\frac{\mathrm{d}f}{\mathrm{d}x} (x_0)
=\lim_{h\to 0} \frac{f(x_0+h) - f(x_0)}{h}
\end{align}

導関数
点$x_0$における導関数の値$f^\prime(x_0)$は,点$x_0$における接線の傾きになる.



微分は物理と切っても切れない関係があります.

【平均の速度】
時刻$t$のときに位置$x=f(t)$の位置にある人(あるいは物体)を考えましょう.「時刻$t_0$から時刻$t_0+\Delta t$の間」に$\Delta x$だけ位置を移動した場合の「平均の速度」が$$v=\dfrac{\Delta x}{\Delta t}$$で定められることは「算数」で習ったことでしょう.

【瞬間の速度】
それでは,ある時刻$t_0$における「瞬間の速度」はどのように定義すれば良いでしょうか?
このためには,考えている時間の範囲(時刻$t_0$から時刻$t_0+\Delta t$の間)をどんどん狭めて行けば良いですね.言い換えると,移動時間$\Delta t$をどんどん小さくしていった極限を考えることになります.

つまり「時刻$t_0$の瞬間」の速度を求めるには,$\Delta t\rightarrow 0$の場合を考えればよいわけですが,これはまさに「導関数」を求めることに相当します:
\begin{align}
v(t_0)
&=\frac{\mathrm{d}f}{\mathrm{d}t} (t_0) \\
&=\lim_{\Delta t\to 0} \frac{f(t_0+\Delta t) - f(t_0)}{\Delta t}
\end{align}

位置微分と速度
位置$x$を時間$t$微分すると速度になる
【注意】物理では,通常簡単のため$f(t)$の代わりに$x(t)$と「座標$x$と同じ文字」を使います(つまり,$x=x(t)$と書くことが多い).混乱したときは,今回のように記号を分けて考えましょう.

用語の整理

もし,用語で混乱することがあったら読んでみてください.はじめのうちはあまり気にしなくても大丈夫です.「関数」と「関数の取る値」の違いに意識してください.
  • 関数$f$の導関数:$f^\prime=\dfrac{\mathrm{d}f}{\mathrm{d}x}$のこと.
  • 関数$f$の点$x_0$における微分係数:関数$f$の導関数の点$x_0$における値$f^\prime(x_0)=\dfrac{\mathrm{d}f}{\mathrm{d}x}(x_0)$のこと.
  • 関数$f$を微分する:導関数$f^\prime$を求めること.

公式

基本的な導関数は暗記が必要です.
$f(x)$ $f^\prime(x)$
$x^r$ $rx^{r-1}$
$\log |x|$ $\dfrac{1}{x}$
$e^x$ $e^x$
$\sin x$ $\cos x$
$\cos x$ $-\sin x$

より複雑な関数の導関数は,これらの公式と以下の性質を組み合わせることで求めることができます:

  • $(f+g)^\prime(x) = f^\prime(x) + g^\prime(x)$
  • $(f\cdot g)^\prime(x) = f^\prime(x)\cdot g(x) + f(x)\cdot g^\prime(x)$
  • $\left(f\circ g\right)^\prime(x) = f^\prime\left(g(x) \right) \cdot g^\prime(x)$
注:2関数$f,g$の合成関数$f\circ g$を,$\left(f\circ g\right)(x)=f\left(g(x) \right)$で定義しています.

物理への応用

https://text.baldanders.info/release/2019/09/mathjax-v3-is-released/